2025-09-07 ドル円週報
2025-09-07 · fx
最終更新: 2025-09-07
FXUSDJPYWeekly
2025年9月第1週のドル円の動きを概観し、主要指標と戦略を整理。
先週は米国の指標発表が少なく、金融政策見通しを巡る思惑と政治リスクがドル円を支配した。米長期金利は3.5〜3.7%台で小動き、ドル円は148円近辺でのもみ合い。日本では石破茂首相が自民党総裁辞任を表明し、10月にも総裁選が行われるとの報道が円買い材料となったが、米国景気指標の強弱や日銀理事の利上げ示唆発言が限られたため、ドル円は148円台中心で引けた。来週は米PPI・CPI、パウエル議長の発言、日銀審議委員の講演、政治不透明感など重要イベントが目白押しで、ボラティリティの拡大が予想される。
前回の結果(答え合わせ)
- 先週の想定レンジ・シナリオ:147.00〜149.50円。NFP弱なら147円割れ、強ければ149円後半を試す想定。
- 実際の値動き:高値 148.915円(9/2)、安値 146.85円(9/5)。終値は148円台前半。
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一致点/相違点
- 終値は想定レンジ内。高値は想定上限(149.50円)未達、安値は想定下限(147円)をわずかに下回り。
- NFPの弱さで一時147円割れも、米長期金利が底堅く押し目は限定的。
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外れ要因の分析
- NFP:+22千人、失業率4.3%、平均時給+0.3%前月比。
- ADP:+54千人。
- ISM製造業:総合48.7、新規受注51.4へ回復。
- 国内外の政治:石破首相辞任報道、フランス政局不安が円買い要因。
米国要因
#FRB関連発言と市場の織込み
- パウエル議長(8/22 ジャクソンホール):政策金利は中立に近づき、インフレは目標に接近。労働市場の冷え込みと関税・供給制約の上振れリスクを勘案し、「慎重に進む」。
- ウォラー理事(8/28):インフレは概ね2%近辺。労働市場悪化回避のため早期利下げ開始を主張(7月会合で▲0.25%支持)。
- クック理事:インフレは2%台前半まで低下、利下げ余地に含み。
- イベント:FOMCは9/16–17(声明・会見は17日米東部時間)。
- 市場織込みの含意(要旨):9月▲0.25%見方が優勢、年内2回程度の利下げ観測。
#利下げ幅ごとの水準(目安)
利下げ幅 | FF金利目標 | ドル円の想定レンジ感 |
---|---|---|
据え置き(0bp) | 5.25–5.50% | 148–150円台で底堅い |
▲0.25% | 5.00–5.25% | 147–149円、押し目買い優勢 |
▲0.50% | 4.75–5.00% | 145–147円、円高圧力強化 |
#主要経済指標(来週)
- 9/10(水)21:30:8月PPI
- 9/11(木)21:30:8月CPI・実質賃金
- 9/12(金)21:30:8月小売売上高・輸入物価
- 9/12(金)23:00:ミシガン消費者信頼感速報値
- (補足)JOLTSは9/30、ADPは10/1、NFPは10/3予定。
- 最近の材料:2Q実質GDPは年率+3.3%、ISM製造業は総合48.7・新規受注51.4。PCE総合は前年比+2.6%(次回9/26)。
日本要因
#経済指標・日銀関連
- 全国CPI(8月):9/19公表予定。
- 東京都区部CPI(9月速報):9/26公表予定。
- 国債入札:5年(9/10)、10年(9/12)。
- 雇用:7月失業率2.3%、有効求人倍率1.22。
#日銀要人発言
- 氷見野副総裁(9/2):見通し通りなら追加利上げ継続が適当。不確実性高く慎重姿勢。
- 中川審議委員(8/28):実質金利低位、見通しが実現すれば緩和修正継続。
- 市場織込み:10月会合での▲0.25%利上げ確率は約40%。
政治・地政学要因
- 国内政局:石破首相辞任表明、新総裁選は9月末〜10月初旬。短期は円買い要因。
- フランス:連立協議難航・予算遅延懸念。ユーロ下押し=円買い要因。
- 米露・ウクライナ:大規模空爆報道、制裁強化検討。リスク回避で円買い入りやすい。
レンジと戦略
- 想定レンジ:146.50–149.50円
- 上値目線:149.00/149.50/150.00(心理・介入警戒)
- 下値目線:146.50/146.00(50日MA)/145.50(介入ライン)
#戦略
- 買い:146.50〜147.00押し目買い、S/L145.80、目標149円台後半。
- 売り:149.00〜149.50戻り売り、S/L150.20、目標147割れ。
- イベント前:PPI/CPI前は軽め、週末はFOMC控えで持ち越し縮小。
シナリオ
- ベース(50%):PPI/CPI予想線、パウエル慎重姿勢 → 147.50–149.00レンジ。
- 円安(30%):物価上振れ、利下げ観測後退 → 149.50突破〜150円試し。
- 円高(20%):物価下振れ+政局混乱 → 146割れ〜145円台後半。
まとめ
来週はインフレ系指標が集中し、FOMC直前の期待調整が相場を主導。上振れインフレはドル高要因、下振れは円高要因。国内は政局不透明と日銀利上げ観測が綱引き。レンジは146.50–149.50円を想定し、イベント前後はポジションを軽く機動的に対応。