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2025-11-10 ドル円週報

2025-11-10 · fx
最終更新: 2025-11-10
FXUSDJPYWeekly

前週のドル円動向を振り返り、今週の主要イベントとシナリオを整理する。政府閉鎖による米経済統計の延期や日本の新政権誕生を踏まえた相場見通し。

#🪶 はじめに(市場のストーリー)

前週(11月10日〜11月16日)のドル円は、政府閉鎖による米経済指標の空白と米金利の再上昇、地政学リスクが複雑に交錯した。前半は米10年債利回りが4.13%から4.08%へ低下して円高が進んだが、週後半にFRB高官のタカ派発言が相次ぎ債券売りを誘発。米10年債利回りは4.11%近辺まで戻った。一方、米中貿易摩擦や英国財政懸念で世界的なリスクオフが強まり、S&P500が週間で+0.1%、ナスダックは-0.5%と軟調だった。ドル指数(DXY)は99.63から99.30へ小幅下落し、中国CPIや日本GDP(発表延期)などアジア指標も材料となった。こうした環境下でドル円は153.48〜155.05円のレンジで推移し、週末は154.53円で引け、週間では+0.53%の上昇となった。

#🧭 今週の総括

米金利の上下動と統計延期が相場の視界を曇らせたが、長期金利の持ち直しと株式市場の調整に支えられ、ドル円は小幅続伸。米CPI・PPI・小売売上高が延期されるなか、市場はFRB高官発言と海外指標に注目した。中国CPIが+0.2%、PPIが-2.1%と下落幅縮小、英国では失業者増加と賃金成長の鈍化がリスクオフ要因。米ミシガン大学消費者信頼感指数の大幅低下もドル売り圧力だったが、金利上昇との綱引きとなった。週末終値は前週比+1.10円、米10年債利回りは+11.3bp、DXYは-0.3ポイントと、金利とドル指数が反対方向に動く一週間だった。

#✅ 当たった点(根拠付き)

  • 調整→持ち直しシナリオ:週初に153.48円まで下落したのち、米10年債利回りが4.11%へ反発して終値154.53円まで戻す展開を想定していた。152円割れは起こらず週足陽線で着地。
  • 株式調整によるリスクオフ:S&P500とナスダックの反落に注目するとしたが、実際にS&P500は+0.1%、ナスダックは-0.5%と伸び悩み、ドル円の上値が限定された。
  • 中国CPI/PPI改善による底堅さ:CPI 0.2%、PPI -2.1%とデフレ懸念が和らぎ、アジア時間のドル円が小幅上昇する場面を後押しした。

#❌ 外れた点(根拠付き)

  • 米主要統計が予定通り公表されると予想:CPIやPPI、小売売上高は延期されたままで材料不足となり、想定したボラティリティは出なかった。
  • 日本GDPによる円高を想定:発表が翌週に延期され、円高材料とはならなかった。英国雇用統計は弱くポンド円の下落がドル円上値を抑制する要因に。

#📊 検証サマリー

指標前回 → 今回(予想)トレンド評価
米CPI / 米PPI / 米小売公表延期情報不足で相場は手掛かり難
中国CPI0.0% → 0.2%(予想0.1%)インフレ回復でリスクオン
中国PPI-2.3% → -2.1%(予想-2.2%)デフレ懸念がやや後退
英賃金成長4.9% → 4.6%(予想4.6%)賃金鈍化でポンド売り
米ミシガン大信頼感53.6 → 50.3大幅悪化でドル売り圧力
米10年債利回り3.997% → 4.11%+11.3bpでドル買い要因
DXY99.60 → 99.30小幅下落でドル売り

#📅 今週の振り返り(実績)

日付 (JST)イベントドル円の反応
11/10 (月)米金利低下(4.13%→4.08%)、統計空白で株安。153.48円まで円高が進行。
11/11 (火)英雇用統計が弱くポンド安、欧州株安。クロス円の下落で戻り鈍く154円前後。
11/12 (水)中国CPI/PPI改善、アジア株反発。リスクオンで154円台半ばへ。
11/13 (木)FRB高官がタカ派発言、米金利4.11%。金利上昇で一時154.72円、株安で反落し154.53円付近。
11/14 (金)主要統計延期、米消費者信頼感急落。材料難で154円台半ばに留まり週越え。

#🔮 次週展望(11月17日〜11月23日)

日付イベント注目点
11/18 (月)米財政収支、米国債入札データ遅延が続く場合は財政懸念と金利需給に反応。
11/19 (火)日本GDP速報、RBA議事録GDPが強ければ円買い、弱ければ緩和期待。
11/20 (水)中国工業生産・小売、FOMC議事録中国指標と議事録のトーンでリスク心理が変化。
11/21 (木)米失業保険申請、ユーロ圏PMI労働市場と欧州景況次第でドル買い・売りが交錯。
11/22 (金)米ミシガン大信頼感(確報)速報値からの修正幅を注視。改善ならドル買い戻し。

#🧠 マーケットセンチメント分析

IMM通貨先物では円ショートが増加し、投機筋は154円台後半〜155円台前半でショートを構築。政府閉鎖による統計空白は裁定フローを抑制し、短期筋はテクニカル主体に。米株の戻り売りでリスクオフ姿勢が続き、米金利上昇にもかかわらずドル指数は軟調だった。地政学では中東情勢や英国政治不安が意識され、安全通貨として円が選好される場面も。

#📈 週後半に向けた変化兆候

  • 米10年債利回りが4.1%台で推移してもドル円が155円台に届かない場合、上昇モメンタム失速のサイン。
  • 日本GDPが市場予想を上回れば円高圧力で154円割れも。逆に下振れなら緩和観測が強まり円安継続。
  • FOMC議事録で12月利下げを示唆するハト派トーンが出れば、米金利低下から152円台までの下押しも。

#🧮 週次比較行(先週比)

指標今週先週差分
週レンジ153.48〜155.05円152.83〜154.48円レンジ下限・上限とも切り上がり
週終値154.53円153.43円+1.10円(円安)
米10年債利回り4.11%3.997%+11.3bp
DXY99.3099.60-0.30pt

#🎯 戦略メモ

  • 円安シナリオFOMC議事録がタカ派で12月利下げ観測が後退し、米長期金利が4.3%台へ上昇する場合。日本GDPが弱ければ155.50円試しも。ストップ154.00円下に設定。
  • 基準シナリオ:統計空白で方向感に乏しい場合は154.00〜155.00円のボックス取引。高値で売り、安値で買いの回転戦略。ストップは153.70円と155.30円。
  • 円高シナリオ:日本GDPが強くFOMC議事録がハト派なら、米金利低下とともに152円台後半までの調整。152.60円割れでトレンド転換を意識し、ストップ154.20円超えに。

#⚠️ リスク要因

  1. 米政府閉鎖の長期化:統計遅延が続けば市場の不確実性が高まり、ドルの安全通貨需要が急変するリスク。
  2. 地政学リスク:中東情勢や英国政治不安が再燃すればリスクオフで円が急伸する可能性。
  3. 日本政府・日銀のサプライズ:経済対策や政策変更、為替介入など突発的な要人発言に注意。

#🪶 今週の教訓(Lessons Learned)

ドル円は金利差だけでなく、政府閉鎖による統計空白や地政学リスクによって心理的に揺れ動く。ドル高局面でも株式のリスクオフが円買いを誘い、金利との相関が時間軸によって変わる点に注意しておきたい。

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